犯罪・刑事事件の解決事例
#給料・残業代請求

「名ばかり店長」の不当待遇に終止符─未払残業代350万円を一括回収

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古市 英志 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人若井綜合法律事務所
所在地東京都 豊島区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

「店長だから残業代は出ない」とされ、毎月の長時間労働にもかかわらず3年間もの間、残業代が一切支給されなかったという方からのご相談でした。実態としては、労働時間が増えているにもかかわらず手取りは減る一方で、ご本人もこの扱いに納得がいかず、ご相談に至りました。

解決への流れ

依頼者は、店長に就任後、労働時間が大幅に増加したにもかかわらず、「管理監督者」として取り扱われた結果、残業代が一切支給されず、年収が減少するという極めて不合理な待遇を受けていました。ご相談時には、未払残業代の一部について消滅時効が迫っていたため、速やかに介入し、内容証明郵便により時効の進行を停止。あわせて、会社に対して未払残業代の支払を求める文書を送付しました。しかし、会社側は、依頼者が「管理監督者」に該当しないと認めた場合、他の店長からの同様の請求が相次ぐ可能性を懸念し、任意の支払には応じませんでした。このため、速やかに労働審判の申立てを行いました。審判手続では、依頼者が実質的に管理監督者に該当しないことを裏付ける証拠を提出し、裁判所からは当方の主張を全面的に認める旨の心証開示がなされました。その結果、会社側は最終的に請求額のほぼ満額にあたる約350万円の未払残業代を一括で支払う内容で和解に応じました。

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古市 英志 弁護士からのコメント

本件では、「店長=管理監督者」と形式的に判断され、長時間労働にもかかわらず残業代が支払われないという、非常に不合理な状況が生じていました。特に印象的だったのは、ご依頼者が店長就任後に労働時間が明らかに増加したにもかかわらず、手取り収入は逆に減少していたという点であり、その実態が「名ばかり管理職」の問題を象徴していました。労働審判の場では、「管理監督者」に該当しないことについて、経営への関与度合い・勤務時間の裁量性・賃金の水準といった各要素を一つ一つ丁寧に検討し、実態に即して主張を組み立てました。形式的な肩書きではなく、現実の働き方に即して適切に評価されるべきであるという姿勢を貫いた結果、裁判所からも当方の主張を全面的に認める心証が示され、ほぼ満額の回収という納得のいく解決に至りました。「店長だから」「役職があるから」といった理由だけで残業代が払われないのは、本来あるべき労働法の運用ではありません。類似の働き方に心当たりのある方は、泣き寝入りせず、ぜひ一度ご相談ください。実態を正しく見極めることで、正当な権利回復につながる可能性があります。