タレントの紗栄子さんが8月28日、自身のインスタグラムに投稿した動物愛護を呼びかけるメッセージが反響を呼んでいる。
投稿では、紗栄子さんが運営する観光牧場「NASU FARM VILLAGE」(栃木県大田原市)に生後1週間ほどの子猫3匹がケージごと捨てられた事件の詳細な状況を説明するとともに、動物遺棄の違法性を強く訴えた。
動物遺棄は重大な犯罪行為
紗栄子さんは投稿で「動物の遺棄は法律で禁止されている違法行為であり、決して許されることではありません」と強く非難する。
動物の遺棄は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)によって明確に禁止されている犯罪行為だ。動物愛護管理法では、「愛護動物を遺棄した者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」(第44条3項)とされている。
紗栄子さんによれば、警察にも相談し「動物遺棄事件」として捜査が始まる見通しだという。
動物愛護管理法は1973年に制定。法改正を経て罰則の強化が図られてきた。しかし、依然として動物遺棄事件は後を絶たず、実際の処罰に至るケースは限られているのが現状だ。
遺失物法との複雑な関係性
紗栄子さんの投稿によると、遺棄された子猫たちは証拠保全のため1か月間は里親探しができないという。仮に事件として扱われなかった場合でも「拾得物」扱いになるため、「遺失物法に基づき最長3ヶ月間は譲渡できず保管」となってしまうそうだ。
遺失物法では、落とし主がわからない、又は取りに来なかった落とし物が、拾い主のものになる期間は3か月と定められている。今回は頻回のミルクが必要な新生児の子猫だったことから、愛護センターではなく連携する保護猫団体での受け入れが決まったという。
繰り返される遺棄の実態
「NASU FARM VILLAGE」では過去にも、敷地内に遺棄される事件が発生しているそうだ。
紗栄子さんは「『ここに置けば助けてもらえる』と思って託されているのかもしれません。しかし実際には、遺棄は命を救うどころか命を危険にさらす行為です」と指摘。飼えない事情がある場合には、捨てるのではなく、保護団体などへの相談を含めて適切な対応をして欲しいと呼びかけた。
現在の動物愛護管理法は、虐待や遺棄に対する罰則を設けているものの、実際の運用面では課題が多く、動物保護団体などからは、より厳格な処罰や予防策の充実を求める声が高まっている。
法制度の整備だけでなく、飼い主の責任意識向上、適切な相談窓口の整備、保護活動への支援体制の充実など、多角的なアプローチも必要だ。