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ニュースでよく見る「書類送検」って何? 元検察官の弁護士がわかりやすく解説
「容疑者が書類送検されました」。ニュースを見ていると、よく目にする「書類送検」という言葉。しかし、きちんと意味を説明できるかと聞かれると、困ってしまう人も多いのではないだろうか。
ネットのQ&Aサイトには「書類送検されると前科がつくの?」「書類送検と逮捕はどう違うの?」といった質問が数多く寄せられている。
書類送検というのは、いったいどういう手続なのだろうか。書類送検されると、何かのペナルティが待っているのだろうか。元検察官の矢田倫子弁護士に聞いた。
能登地震から1年「災害ニュースに敏感になった」「どこか他人事に思えて」 非常食購入、保険見直し…あなたは地震に備えてる?
2024年の元日、能登半島地震が発生しました。多くの人が「まさか正月に」と驚いたことでしょう。
被害の爪痕は深く、現地では今も生活が再建できずに苦労している人がいます。この1年間で地震の対策を取った人はどれだけいるのでしょうか。
弁護士ドットコムニュースが読者に防災への意識を尋ねました。
就職面接で「尊敬する人」や「愛読書」を応募者に聞くのはダメーーなぜNGなのか?
「尊敬する人物を言ってください」「どんな本を愛読していますか」。こんな質問を就職試験の面接で受けたら、どう感じるだろうか? 滋賀県教育委員会の調査によると、2014年度に高校生が就職面接を受けた823社のうち、このような質問を受けていたケースが73社(全体の8.9%)あったのだという。
滋賀県教委はこれらを「不適正な質問」としている。ほかにも、本籍や家族の職業など「本人に責任のない事柄、身元調査につながるおそれのあるもの」、愛読書、尊敬する人物など「本来、自由であるべきもの」を挙げている。
調査結果によると、2014年度の不適正な質問の内訳は、家族構成・状況18件、住所・住所略図31件、愛読書17件、家族の職業・学歴10件、尊敬する人物4件、本籍地・出生地2件だった。
ネット上では「企業としては、思想信条とか宗教、親の職業や交友関係等々、それらこそ聞きたいことではないだろうか」と、企業側に理解を示す声もあった。こうした質問をすることに、法的な問題はあるのだろうか。労働関係に詳しい大川一夫弁護士に聞いた。
名古屋大で「ナンパ」していた男性逮捕…大学に立ち入っただけでも「犯罪」になる?
ナンパ目的で名古屋大学の建物に入ったとして、愛知県警は5月25日、東京都中央区の23歳の男性を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕した。
報道によると、男性には、5月25日午前9時ごろ、名古屋大東山キャンパスで、教室が入った建物の1階に侵入した疑いがもたれている。男性が複数の女性に声かけていることを不審に感じた男子学生が声をかけたところ、男性は逃走。近くの路上で学生に取り押さえられた。男性はナンパのため、全国各地の大学を訪れていたとみられている。男性のものとみられるツイッターには、大学でのナンパを予告する書き込みがあった。
大学には学生以外の一般人も施設利用などで出入りすることもある。ネット上では、「近所の大学の食堂を利用するけど、これも犯罪なの?」という疑問の声もあった。今回はなぜ逮捕されたのか。刑事事件に詳しい冨本和男弁護士に聞いた。
岸田首相の「フェイク動画」投稿者が謝罪「日テレさま、訴訟は停止を」 どんな法的問題がある?
岸田文雄首相が下品な言葉で語る「フェイク動画」がSNSで拡散されている。この動画は、生成AIで作成されたもので、「日テレNEWS24」「LIVE」「BREAKING NEWS」など、あたかも実在する報道番組かのようなテロップも入っていた。
この騒動を受けて、日本テレビは「しかるべき対応をして参ります」というメッセージを公表した。一方で、動画を投稿した男性はエックス(旧ツイッター)で謝罪し、「訴訟等は停止を…」と呼びかけている。
実際問題として、岸田首相や日本テレビは投稿者の男性を提訴できるのだろうか。ネット中傷問題にくわしい中澤佑一弁護士に聞いた。
「僕の言うことを聞いたほうがいい」女性作家に愛人関係迫るコレクター、画廊は見て見ぬふり
画廊や展覧会で若い作家や美大生に、執拗につきまとう「ギャラリーストーカー」。彼らは画廊に居座り、無料のキャバクラのような接客を作家たちに求める。
しつこいストーキングやハラスメントにより作家は追い詰められ、創作活動が止まったり、身に危険が迫ったりするケースもある。
しかし、彼らは画廊の客であり、コレクターであることから、若い作家や美大生は強く拒否することが難しい。拒否できたとしても、作品を買ってくれなくなったり、画廊で発表する機会が失われるという理不尽な被害を受けるのだ。
ところが、美術業界では、ギャラリーストーカーの被害は深刻なものと受け止められてこなかった。取材を進めると、その背景には美術業界の特殊な伝統や構造があることが浮かび上がってきた。
弁護士ドットコムニュースでは、1年以上かけて美術業界における被害を取材。その集大成として、今年1月、書籍『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』(猪谷千香著/中央公論新社)を発刊した。ギャラリーストーカーや美術業界で起きているハラスメントの実態について、本書の一部を抜粋して4回にわたってお届けする。
(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

ブラック企業大賞、2年連続で「三菱電機」…電通とセブンが「特別賞」同時受賞
「ブラック企業大賞2019」の発表・授賞式が12月23日、東京都内でおこなわれて、三菱電機(メルコセミコンダクタエンジニアリング)が、史上初めて2年連続で大賞に選ばれた。長時間労働による40代社員の自殺が労災認定されるなどしていた。
ウェブサイトや会場での投票数による「ウェブ投票賞」は、ネット大手の楽天(ウェブサイト:1万303票、会場:1票)が選ばれた。楽天は、男性社員が会議中に上司から暴行を受けて、労災認定される事件が発生していた。
「特別賞」は、過去に大賞を受賞したことがある電通とセブン‐イレブン・ジャパンの2社が受賞した。電通は、36協定違反で労基署から是正勧告を受けるなどした。セブン‐イレブン・ジャパンは、フランチャイズ従業員に対する賃金不払いが発覚していた。
「#MeToo賞」は、長崎市だった。市幹部が2007年7月、女性記者に対して、性暴力をふるう事件が起きた。女性がことし4月、市を相手取って、損害賠償をもとめて提訴した。
過去に大賞を受賞して、今回もノミネートされたのは、セブンイレブンジャパン(2015年)、電通(2016年)、三菱電機(2018年)の3社。
強制性交罪などで異例の「懲役40年」求刑、「上限30年」を超えたのはなぜ?
現在、刑の上限は「30年」とされているが、福岡地裁の裁判員裁判で7月15日、これを大きく超える「懲役40年」が求刑された。
報道によると、2018〜2019年、7人の女性を暴行したとして、強盗・強制性交、強制わいせつ致傷などの罪に問われた男性に対して求刑された。
出会い系サイトを通じて知り合った女性を脅し、山中に車で連れて行って犯行に及んだとして起訴されたが、「合意があった」と否認しているという。
なぜ、今回、上限を超える求刑がされたのだろうか。岡本裕明弁護士に聞いた。
芸能人の住宅街「花火フェス」が物議、「自宅で花火」の法的な問題は?
「フェスくらいブチ上がってる」。お笑いコンビ「アルコ&ピース」の平子祐希さんが、花火の写真と共にアップしたツイートが話題となりました。
写真には、複数人の子どもたちが、駐車場スペースのような場所で噴出花火を楽しむ様子が写っています。
「昨今は自宅前での花火はあまり…」と心配する声に対し、平子さんは「数十年住み続けて築いてきたお付き合い。そうして確立されたコミュニティの中で判断していますのでこちらは問題ありません」と返信していました。
最近は公園や河川敷で火気の使用を禁止しているところもあり、近所で打ち上げ花火や、手持ち花火ができる場所が少なくなっています。
平子さんのような派手な花火ではありませんが、ネットでも「ベランダで線香花火した」「ベランダで手持ち花火をした」という投稿がしばしば散見されます。
就職活動でもらう「内々定」と「内定」 法的な違いはどこにあるか?
来春卒業の大学生にとって、いまは「就職活動シーズン」真っ只中だろう。経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」にもとづいて、4月1日から面接選考をスタートさせた企業も多いが、なかにはすでに「内々定」をもらった学生もいる。あるいは、志望企業から不採用を告げる「お祈りメール」が届くのではないかと不安で、「夜も眠れない」という学生もいるかもしれない。
大手企業などでよくあるのは、夏休み前に「内々定」を出し、その後、秋になると「内定」を通知するというパターンだ。このような方式がとられているのは、経団連の倫理憲章で、「正式な内定日は、卒業・修了学年の10月1日以降とする」と定められていて、9月以前には「内定」を出せないという建前になっているためだ。
では、9月以前の「内々定」と10月以降の「内定」は、法律的にも違う意味を持つのだろうか。それとも、名前は違うが、同じ性質なのだろうか。労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。
● 「内々定」と「内定」では法的性質が異なる
山田弁護士によると、「『内々定』と『内定』では、『労働契約』を締結しているか否かで異なる」と指摘しつつ、次の様に説明する。
「『内々定』とは、『労働契約が締結される以前の段階』を指し、労働契約による拘束関係は発生しません。
他方、『内定』とは、採用内定通知書等に記載された取消事由(たとえば3月に大学を卒業できない場合)が発生した場合、企業により労働契約を解約できる権利が認められた『労働契約』を意味します。
よって、両者は『労働契約』を締結しているか否かという点で異なっており、契約関係に基づく拘束力の有無が異なります」
ともすると、「内々定」と「内定」では、9月以前と10月以降という、時期の違いに目を奪われがちだが、実は、労働契約の締結という法的性質において、違いがみられるということだ。
●「内々定」が取り消されても、損害賠償は原則として認められない
では、両者は法的性質が異なるとして、企業と学生との間で何か問題が生じた場合、具体的な違いが生じることはあるのだろうか。
山田弁護士は、「よく問題になるのは、企業が『内定』や『内々定』を取り消すケースです」と指摘しつつ、次の様に説明する。
「例えば『内々定』の場合には、労働契約が成立していません。このため、企業がたとえ恣意的に内々定を取り消しても、原則的に問題にならず、応募者からの損害賠償請求も原則として認められません。
他方、『内定』の場合、これまでの裁判例は、概して企業に厳しい態度を取る傾向にあります。このため、内定取消が認められるのは、会社が採用内定当時には知ることができなかったか、知ることが期待できなかった事実が判明し、内定取消を行うことが『社会通念上相当』と認められる場合だけに限られます。
よって、『内定』の場合、企業の恣意的な内定取消については、労働者からの損害賠償請求が認められますので、企業としては特に留意が必要です」
このように、企業の取り消しの場面においても、「内々定」と「内定」では差があるというわけだ。「内々定」の場合は、企業が取り消しても、原則として損害賠償請求が認められないということなので、学生の側も「内々定」をもらっただけは安心できないといえるだろう。しかし、取り消された学生にとっては死活問題なので、企業が恣意的な取り消しを安易に行わないことを期待したい。