夫の不倫に気づいたとき、40代のぶっつぶさん(仮名)は心に誓った。「絶対に証拠を掴む」と。
深夜のLINEの通知を皮切りに、顔認証をわざと失敗させてスマホのパスコードを突き止め、さらには位置情報タグやワイヤレスイヤホンを駆使して行動を追跡。
数カ月にわたる調査の末、夫と女性の関係を裏付ける決定的な"動画"を発見した。
●連絡不精な夫に感じた違和感
最初の違和感は、夫の「おかしな行動」だった。
「深夜2時、3時にLINEの通知が大量に鳴るんです。夫はもともと連絡無精なのに、妙にスマホを見ていて…おやおや、と思いました」
決定打となったのは、夫のスマホのパスワードが突然変更されていたこと。
「これは黒だ」。そう確信したぶっつぶさんは、あえて顔認証を何度も失敗させ、パスコード入力画面を表示させた。そのうえで、夫の指の動きを観察。さらにはメガネのレンズに反射した数字まで見逃さなかったという。
●位置情報タグとイヤホンを使った「追跡」
調査はスマホだけにとどまらなかった。夫の移動経路も洗い出した。
「位置情報タグは夫に通知がいってしまうので、バレないようワイヤレスイヤホンで位置を確認していました。充電も持ちますし、気づかれにくいんです」
この方法について、離婚問題にくわしい原口美緒弁護士は「顔認証をわざと失敗させる方法は初めて聞きました。ワイヤレスイヤホンを使うのも新しいですね」と驚く。
●ついに見つけた「決定的」な動画
数カ月にわたる追跡の結果、ついに決定的な証拠が見つかる。
「パソコンの中に夫と不倫相手との性行為の動画が残っていたんです。見た瞬間、手が震えて動かせなくなりました」。
原口弁護士は「動画や写真を残すのは男性の方が多い。女性はまめに消すことが多いですが、男性はコレクション願望があるのか、証拠として残りやすい」と指摘する。
●夫への問い詰めと告白
証拠を手にしたぶっつぶさんだったが、すぐには夫を問い詰めはしなかった。
「自分の気持ちを整理する時間が欲しかった」
そして迎えた夫の誕生日、クリスマスが近い時期。LINEで切り出した。
夫は最初「そんなことあるわけない」と否定を続けたが、動画とスクリーンショットを送りつけると一転。ついに不倫を認めた。
原口弁護士は「証拠を出して認めさせるのは一つの方法。ただし、復縁を望む場合は、あえて言わない人もいる。どちらがいいとは一概に言えません」と話す。
通知音への違和感、パスワード解読、ワイヤレスイヤホンによる追跡、そして動画の発見──。ぶっつぶさんの行動の裏には「裏切りをきちんと確かめたい」という揺るぎない思いがあった。