5296.jpg
都会にやってきたサル、捕まえてもいいの? 東京都と環境省の見解は
2021年11月04日 16時07分

サルに遭遇したら、どうするのが正解なのか。

11月に入ってから、東京都心を縦横無尽に走りまわる猿が話題になっている。1日から、目黒区、新宿区、世田谷区、北区…テレビのワイドショーはここ数日、猿の行方を追いかけ、ネットでも目撃情報が多数報告されている。

都は現在、実害がない限り、捕獲や駆除はしない方針だという。

四国出身の都内男性はこの方針に「捕獲しないの?と言っている人がいて、逆にびっくりしました」と話す。男性が生まれ育った土地では、集落に降りてくる猿は見慣れたもので、農作物を荒らすことがない限り、見守るのが普通だったという。ただし「いざとなれば捕獲をします」とさも当然のように話す。

サルに遭遇したら、どうするのが正解なのか。

11月に入ってから、東京都心を縦横無尽に走りまわる猿が話題になっている。1日から、目黒区、新宿区、世田谷区、北区…テレビのワイドショーはここ数日、猿の行方を追いかけ、ネットでも目撃情報が多数報告されている。

都は現在、実害がない限り、捕獲や駆除はしない方針だという。

四国出身の都内男性はこの方針に「捕獲しないの?と言っている人がいて、逆にびっくりしました」と話す。男性が生まれ育った土地では、集落に降りてくる猿は見慣れたもので、農作物を荒らすことがない限り、見守るのが普通だったという。ただし「いざとなれば捕獲をします」とさも当然のように話す。

●東京都「現時点では、サル駆除の許可は出せない」

しかし、都心では猟友会が出てくるのは難しいだろう。もし仮に、一般人がサルにケガを負わせたり、駆除・捕獲したりした場合、法的には問題になるのだろうか。

東京都の担当者は、「サルは野生鳥獣です。捕まえるには鳥獣保護法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)にもとづき、都に申請のうえ許可を得る必要があります。その際、ケガをさせられた、させられる可能性が高いといった理由や、畑を荒らされるなど有害鳥獣としての理由が必要です」

現在、そのような申請は出ていないという。仮に出されたとしても、「今であれば、許可は与えられない」という。

「現在出没中のサルは都内を移動するだけで、特に人や農作物に危害をくわえることもありません。市区町村や警察には『特に近づかず、遠くから見守るように』などと伝えてあります」

一方、サルから危害をくわえられそうになった場合、殴ってケガをさせたり、殺したりしまってもよいのかという質問には、「鳥獣保護法でそのような場合を想定していないため、答えられない」とした。

●「テレビクルーも追いかけて刺激しないで」

「サルには極力近づいたり触ったりせず、遠くから見守ってください。へたに追いかけたり、あみで捕まえようとすると、サルが興奮して逆襲して、怪我することがあります。

実際にはテレビのカメラが追いかけてしまうこともありますね。よい映像を撮りたい気持ちもわかりますが、遠くから撮るなど刺激しないようにお願いします」

環境省も「野生鳥獣の捕獲・駆除には基本的には許可が必要。捕まえたり、傷つけたりすることは違法です。近づかないでください」と呼びかける。

●住宅街を出歩く猿は全国に

サルが住宅地や都心に現れるケースはよく報じられている。今年9月には、福岡県の北九州市に現れたサルが人を襲った。8〜9月にかけて、噛みつかれるなどして16人がケガをしたという。ほかにも、2017年には、神奈川県の横浜市や、東京の大田区や港区など住宅街など都心部に猿が出没した。

小学生の子をもつ港区に住む女性は「数年前、学校の近くに猿が出た時には、注意を呼びかけるメールがきました。子どもたちは棒や傘を持って登校していきましたね」と話す。

都会の子どもが、「珍客」に興奮する気持ちはわからなくもないが、前述したように、一般の人が許可なくサルを傷つけたり、捕獲したりするのは大きな問題があるから注意が必要だ。

●殺傷するかもしれないと考えて許可なく殺傷してはいけない

なお、鳥獣保護法の考え方について、都の担当者は、「捕獲など(殺傷も含む)または採取などをおこなう意思がなく、結果として、鳥獣を捕獲などまたは採取に至った場合には、これを罰しない」という考えがあると説明する。

たとえば、鳥が巣を作った木を切って、地面に叩きつけられたヒナが死んだ場合、知らずに切ったならしかたないが、ぴいぴい鳴き声が聞こえていて、ひなが死ぬ可能性を認識したうえで切ったら、法に抵触するという。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る