6637.jpg
「彼女以上の存在」ラブドールと同棲する60代男性――妻にとっては「浮気」になる?
2015年10月16日 09時46分

男性の疑似的な性行為や愛玩・観賞のために作られる「ラブドール」。そんなラブドールに魅せられ、ともに生活を送る人たちの様子を紹介したドキュメンタリー番組「ボクが恋したラブドール」(フジテレビ系)が放映され、「闇が深すぎる」「不思議な関係に心が揺さぶられる」とネットで話題を呼んだ。

番組で紹介された人たちの中に、妻子のもとを離れて暮らし、1Kのアパートでラブドールとともに生活を送る60代の男性がいた。男性は、ラブドールに「イクエ」という名前をつけ、「よき理解者、彼女以上(の存在)」と話す。買い物やスキー場など、外に連れ出しているシーンもあった。

妻はラブドールと暮らしていることを知っている。ただ、ラブドールの存在を完全には受け入れられず、「これを人間だと思っちゃうとややこしいことになっちゃいますもんね」と語っていた。ネットでは、「旦那さんがラブドールを好きなのと女の人に浮気するのとの違いってなんなのか」と指摘する声もあった。

ラブドールは人間ではないが、夫がラブドールと暮らしていることに妻が堪えられなくなった場合、離婚の理由になるのだろうか。ラブドール相手の場合でも「浮気」といえるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。

男性の疑似的な性行為や愛玩・観賞のために作られる「ラブドール」。そんなラブドールに魅せられ、ともに生活を送る人たちの様子を紹介したドキュメンタリー番組「ボクが恋したラブドール」(フジテレビ系)が放映され、「闇が深すぎる」「不思議な関係に心が揺さぶられる」とネットで話題を呼んだ。

番組で紹介された人たちの中に、妻子のもとを離れて暮らし、1Kのアパートでラブドールとともに生活を送る60代の男性がいた。男性は、ラブドールに「イクエ」という名前をつけ、「よき理解者、彼女以上(の存在)」と話す。買い物やスキー場など、外に連れ出しているシーンもあった。

妻はラブドールと暮らしていることを知っている。ただ、ラブドールの存在を完全には受け入れられず、「これを人間だと思っちゃうとややこしいことになっちゃいますもんね」と語っていた。ネットでは、「旦那さんがラブドールを好きなのと女の人に浮気するのとの違いってなんなのか」と指摘する声もあった。

ラブドールは人間ではないが、夫がラブドールと暮らしていることに妻が堪えられなくなった場合、離婚の理由になるのだろうか。ラブドール相手の場合でも「浮気」といえるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。

●疑似的な性交渉は「不貞」にあたらない

「個人的には、『浮気(法的には不貞行為)には該当しないが、別の裁判上の離婚原因にはなりうる』と考えます」

寺林弁護士はこのように述べる。

「浮気(不貞)という概念は、配偶者の性交渉の相手が『生身の人間』であるケースを指します。

そうすると、命のないラブドールが相手では、浮気と認定することはできないと考えます。

また、ラブドールと疑似的な性交渉は、アダルトビデオを鑑賞しながらの自慰行為に類似する側面があるといえるでしょう。

ですから、疑似的な性交渉をラブドール相手に行ったというだけでは、浮気に類似するとはいえず、離婚原因にはならないと考えます」

では、どんな場合に離婚原因になるのだろうか。

「ラブドールにのめりこむあまり、その衣服や調度品などに散在して生活費を家計に入れなくなる、あるいは、番組で紹介された男性のように、妻子のもとを離れて、その人形と暮らすことを選ぶなどという事態になれば、『婚姻を継続しがたい重大な事由』として、裁判上の離婚原因があると認定される可能性が高くなるでしょう」

寺林弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る