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道ばたに捨てられた「中古家具」や「電気製品」 勝手に持ち帰っても大丈夫か
道ばたや空き地に捨てられた中古家具や電気製品の中には、まだまだ長く使えるものがあるかもしれない。そんな「粗大ごみ」を地元住民がマッピングして、ほかの人が回収できるようにするサイトを、カナダの会社が開設した。
このサイト「Trashswag」は、人々がゴミを有効に活用するための情報共有システムだ。サイトには、カナダ最大の都市・トロントの地図が設置され、道ばたやゴミ置き場に捨てられた家具や木材の情報が写真つきで表示されている。このような粗大ゴミのほとんどは、持ち主が所有権を放棄していると言えるだろう。拾って利用しても問題にならない気もするし、エコという点で望ましいと思われる。
日本でも、資源ごみの日に回収場所に置いてあったマンガを持ち帰ったなんて話も耳にする。では、日本で、道ばたや空き地に捨てられている家電製品や中古家具を勝手に持ち帰った場合、法的に問題はないのだろうか。また、持ち帰ったあとに、元の持ち主から「返せ」と言われたらどうなるのだろうか。梶山正三弁護士に聞いた。
●所有者が「所有権を放棄」した物は、「無主物」となる
「海に棲む魚など、本来所有者が存在しない物や、もともと所有者がいたが、その所有者が所有権を放棄した物は、『無主物』と呼ばれます。このような無主物は、誰かが所有の意思を持ってそれを自己の占有(支配)の下におけば、所有権を取得することができます(民法239条1項)」
では、道ばたに長期間放置されていた家具や家電製品、または、町内のゴミ捨て場に長期間放置されていた自転車などは『無主物』として、第三者が持ち去っても問題ないのだろうか。
「放置自転車については、過去に占有離脱物横領(刑法254条)として送検された事例があります。つまり、無主物と認められない場合があるということです。
また、一見、所有権が放棄されたように見えるが、所有者の意思としては『放棄していなかった』という場合、所有者からの返還請求に応じなければなりません。
ただ、仮に所有者がそういう意思だったとしても、客観的な状況から所有権放棄と信じることに合理的な理由があれば、占有離脱物横領の故意がないとして犯罪にはなりません」
●市町村のゴミ収集場に置かれた粗大ゴミはどうか?
このように、道ばたに放置されているからといって、必ずしも「無主物」とは言い切れないようだ。では、自治体のゴミ収集場に置かれた粗大ゴミはどうだろう。
「市町村が、空き缶・空き瓶・古紙などをリサイクル目的で分別収集場所を特定して集めている場合は、市町村が占有している状況が明らかです。したがって、そこから無断で持ち出した物については、民事的には市町村に対する返還義務があります。また、刑事的には窃盗罪(刑法235条)になります」
メルカリが「胎児エコー写真」出品禁止 ウソの妊娠報告は「詐欺罪」「強要罪」に問われるリスクも
メルカリが8月25日、「胎児のエコー写真及びそれに類するもの」を禁止するとの方針を発表しました。サイトでは「2025年9月1日以降、該当の商品を事務局で確認した場合は、順次削除いたします」とした上で、「該当商品を出品、販売されている場合は、必ず商品の取り下げをしていただきますようお願いいたします」と呼びかけています。
メルカリでエコー写真にどのようなニーズがあるのかは不明ながら、SNSでは交際相手に「妊娠した」と嘘をついて慰謝料を請求したり、その他何らかの要求をするのに使われたりするのではないかとの不安の声も上がっていました。
実際、弁護士ドットコムの法律相談にも、「中絶費用を支払ったが、後から見せられたエコー写真が他人のものだとわかった。詐欺ではないのか」という趣旨の相談が複数寄せられています。
交際女性に捜査情報漏らす、元警察官に有罪判決…大阪地裁 「私は更生して欲しかっただけ」と弁明
大阪地裁は2024年3月19日、地方公務員法違反で起訴された40代の男性に対して、懲役1年・執行猶予3年(求刑:懲役1年)の判決を下した。
被告人は、大阪府警に25年間勤務していた警察官だった。起訴状などによると被告人は当時交際していた女性(以下、A)に対して、違法薬物の捜査情報などを3件伝えた疑いで起訴されていた。現職の警察官による事件ということで大きく報道されていた。
公判を通じて、被告人は行為そのものは認めているものの「情報は秘匿するほどの内容にあたらない」と無罪を主張していた。判決前の最終陳述でも「私は更生して欲しかっただけで、人として間違っていないと今でも思っている」と陳述していた。(裁判ライター・普通)
コミケだけでなく「クラブ」もピンチ? TPPで懸念される「非親告罪化」とは?
クラブでDJが音楽をかけるだけで著作権法違反で摘発される――そんな未来が待ち受けているかもしれない。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉において、著作権法が争点の一つになるとみられているが、アメリカが著作権法の「非親告罪化」を提案する可能性があるからだ。
そんななか、TPPと著作権の関係を考えるシンポジウムが6月29日、東京都内で開かれた。「日本はTPPをどう交渉すべきか ~『死後70年』『非親告罪化』は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」と題されたシンポジウムには、ジャーナリストの津田大介さんや弁護士の野口祐子さん、福井健策さんらが登壇し、活発な議論をおこなった。
●日本政府が何も言わなければ「非親告罪化は通ってしまう」
議題にのぼった「非親告罪化」とは、著作権を侵害する犯罪について、著作権者の告訴がなくても検察が起訴できるというものだ。
現在、日本の法律では、著作権侵害は「親告罪」とされているため、著作権者の告訴がなければ、警察や検察が動くことができない。しかしTPPによって「非親告罪化」されれば、第三者による通報をきっかけにして、警察の独自判断で摘発できるようになる。そうなれば、「グレーゾーン」とされるコミケの二次創作やクラブの楽曲利用もどんどん検挙される恐れがあるのではないか、というのだ。
たとえば、二次創作について、これまでの日本では比較的寛容にとらえる風土があった。その点について、シンボジウムでは野口弁護士が「出版社や権利者は、表だって聞かれれば『許諾なしで使われては困ります』と言っていますが、内心は、『コミケなんかで盛り上がったほうが本作も売れるし、マーケット全体が大きくなるなら、まあまあいいんじゃないの』と思っている人もいると思うんです」と指摘した。
だが、非親告罪化となれば、権利者の考え方しだいというわけにもいかなくなる。「日本の著作権法に、非親告罪化が採用される可能性はどれくらいあるのか?」。津田さんがそう質問すると、福井弁護士は次のように答えた。
「非親告罪化については、TPPでどんな議論をやっているのかまったく読めません。TPPの秘密協議っぷりは見事で、あまり表に出てこないんです。対立しているという話ばかりで。非親告罪化をどれだけ議論しているかもわかりません」
このように予測が難しいことを指摘しつつ、福井弁護士は次のような懸念を口にした。
「想像になりますが、TPP加盟国のうちで日本ほど、グレー領域での二次創作やさまざまなビジネスが花開いている国というのは、あまり思いつかないんです。だから、TPP交渉で日本が何も言わなければ、非親告罪化がスーッと通ってしまう気がするんです」
●「非親告罪化」で、クラブDJが通報されやすくなる
議論は、若者が集うクラブの話題にも及んだ。著作権法の非親告罪化は、このクラブにも影響してくるかもしれないというのだ。というのも、クラブDJが多数の客の前で、著作物である音楽CDやレコードをかけることは著作権を侵している可能性があり、非親告罪化すれば、誰もがこれを通報できるようになるからだ。この問題にも福井弁護士が答えた。
「ライブ会場でのDJをどう見るかによって、著作権の問題は変わるんですが、何の許可もなしにやっているとすれば、通報を受けやすくなるでしょうね」
津田さんも「すごく声の大きな人が『あそこで著作権侵害をしている人がいる』と言ったら、警察も動かざるを得ないというのがあると思うんです」と指摘した。
「グレー領域をそれなりにうまく生かしてきた日本文化にとって、親告罪というのは、それなりに相性がよかった。しかし、非親告罪化すれば、これがどうなるか」
福井弁護士はこのように問題を提示した。マスメディアではあまり取り上げられない「非親告罪化」の話題だが、TPP協議の展開しだいでは、日本の文化の未来に大きな影響を与える可能性があるといえそうだ。
会社に「健康診断の結果を見せろ」と言われた・・・社員は断ることができる?
勤務先で毎年うける健康診断。その結果は、どこまで会社側に把握されてしまうのだろうか。「ボスに定期健康診断の予約を入れたいと言ったところ、これまで結果を見せてもらっていないから出してもらおうか」と言われたーー。そんな相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。
相談者によれば、その理由は「自分が費用を出しているから」だという。相談者が働いているのは個人経営の企業ということなので、大きな会社とは事情が異なるのかもしれないが、健康診断の結果を提出することは、労働者の義務なのだろうか。村松由紀子弁護士に聞いた。
コロナで激変「アニメ声優のアフレコ事情」 キャスティングにも変化の兆し?
コロナ禍の影響は、アニメやゲームの制作現場にも及んでいる。特にキャラクターに命を吹き込むアフレコ現場は、密になりやすく、飛沫感染のリスクもある。
そのため、録音スタジオでは少人数での収録と換気が徹底され、これまで30分番組ならおよそ3時間だった収録時間が倍かかるようになったという。
現在放送中のアニメ『天地創造デザイン部』など、数多くの人気作品に携わる音響監督の飯田里樹氏は、収録スタイルが変わったことで、アニメのキャスティングにも変化が出る可能性を指摘する。
音響監督といえば、キャスティングにも影響がある役回り。いったいどういう理由からなのか。話を聞いた。(ライター・梅田勝司)
元「愛内里菜」さん、未婚のシングルマザー告白…父親の認知がない場合の影響は?
かつて人気を博した歌手「愛内里菜」から改名した垣内りかさん(37)が、12月4日放送のテレビ番組「もしかしてズレてる?」に出演。未婚のシングルマザーだったことを打ち明けた。過去の恋人と別れた後に妊娠が発覚したという。ただ、認知を求めず、連絡もとっていないという。
垣内さんはブログで、「父親がいないという境遇を背負わせながら、ひとつの人生を羽ばたかせるため18年の歳月をかけて一人前に育てあげるということは容易いことではないと思っています」とつづったうえで、「母として、父としての分まで頑張っていこうと思います」と決意を表明している。
垣内さんは認知を求めていないとのことだが、未婚の女性が出産して、父親が認知しない場合、どのような影響があるのだろうか。作花知志弁護士に聞いた。
学生がチョコパイ大量配布して高校生ら殺到、フェンス破損 弁償する義務はある?
富山国際大の学生6人が11月5日夕、ツイッターで「パイ祭り」などと告知して、富山駅前でチョコレートパイ1000個以上を無料配布。現場に殺到した高校生らによって、駐車場のフェンスが破損するトラブルが発生した。警察も出動し、大騒ぎになったという。
北日本新聞の報道などによると、駐車場の管理運営会社の責任者がフェンスの破損を確かめ、警察に通報。責任者が現場で「弁償してほしい」と学生たちに求めると、「フェンスを倒したのは自分たちではない」と主張していたが、その後、「弁償はやむを得ない」と負担する意思を示したという。
学生たちは配布の動機として、「喜んでもらいたかった」などと話しているそうだが、法的には弁償する義務が発生するのか。また、犯罪にあたる可能性はないのか。西口竜司弁護士に聞いた。
「再婚禁止期間」廃止や「嫡出推定」見直し閣議決定、「違憲」勝ち取った作花知志弁護士に聞く
女性が離婚後300日以内に出産した子どもは「元夫の子」と推定する現在の民法を見直す改正案が10月14日、閣議決定されたと報じられた。
これは、明治時代から続いている嫡出推定の規定だが、女性が離婚後300日以内に別の男性の子どもを出産した場合でも、元夫の子とされてしまっていたため、女性が出生届を出さずに子が無戸籍になるなどの問題が起きていた。
報道によると、政府が決定した改正案では、離婚後300日以内であっても、女性が別の男性と再婚していれば、子どもを再婚相手の子とすることができるようになる。また、女性だけ離婚から100日間再婚ができないという再婚禁止期間も廃止されるという。
かつて、再婚禁止期間は6カ月とされていたが、これは違憲であるとして女性が訴訟を起こし、2015年12月に100日を超える部分については違憲とする最高裁判決が下されている。この判決を受けて、2016年には再婚禁止期間を100日に短縮するよう民法が改正された。
この訴訟で、女性の代理人だった作花知志弁護士に、今回の嫡出推定の見直しや再婚禁止期間廃止の意義を聞いた。
寝ているだけでも「労働時間」? 宿直勤務の警備員に180万円が支払われたワケ
イオンの関連会社で警備にあたっていた男性社員(52)が、宿直の仮眠は労働時間にあたるとして、未払いの賃金などを求めた裁判で千葉地裁は5月17日、仮眠時間を労働時間と認めて、会社側に約180万円の支払いを命じた。
報道によると、男性は東京都内や千葉市でスーパーの警備をしており、24時間勤務の際には未明に4〜5時間の仮眠時間が定められていたという。判決を受けて、この会社では6月1日、全従業員およそ2000人と退職者を対象に、未払い残業代がないか調査することを決めた。
今回の判決では、警備会社で働く男性の宿直勤務中の仮眠が労働時間と認められたが、一般的に仮眠が労働時間と認められるにはどんな条件が必要なのだろうか。大山弘通弁護士に聞いた。